明日香村稲渕で97年から棚田オーナー・段々畑の畑オーナーを12年間続けてきました(この春で卒業することにしましたが)。その中でいちばん心に残ったのは、農家のお年寄りが元気なこと。そして、いろんなことの生き字引であること。遊び心を忘れないこと。それを学ばせてもらっただけで、12年間の値打ちはおつりがくるほどです。
生き字引で印象に残っているのは、春のれんげ祭という行事で「わらじ作り」をしたときのことです。もしできればいいな、くらいでプログラムに入れていたのですが、田んぼの上に敷いたブルーシートのあちこちにインストラクターの農家のおじさんを囲んでわらじ作り教室が始まっていました。鼻緒にハギレを混ぜて長時間履いても痛くない本格的なわらじ作りがいつの間にかメインプログラムになっていたのです。
わらじ作りを教えられる人がこれほどいて、都会から来た人でもわらじに関心のある人がこんなにいるなんて!「わらじ健康法」なんていう企画もいろいろな展開できそうで、ちょっと面白いんじゃないかなーって、ひそかにワクワクしてたりします。たとえばそんな企画を進める上でも、オーナーを卒業しても、ちょこちょこ教えを請いに行ったりはしたいと思っています。そんなときどういう立場で何をしに来ているのかがわかりやすい名刺が、やっぱり要るでしょうね。
主におっちゃんたちと付き合ってきて、これだから農村は楽しいと思うことはいっぱいあります。極めつけの遊び心を感じたのは、お祭用に直径数十センチ、長さ一メートル近いジャンボかぼちゃ作り。それで、重さ当てコンテスト。かとおもえば、玄関に飾るおもちゃかぼちゃを作っては、それを炭に焼いてみたり。毎日同じような野良仕事を繰り返しているように見えて、心のビタミンもちゃんと補給してはるのですよね。
おっちゃんたちが斧一本あればいとも簡単に作ってしまう竹の柄杓(神社の手水処にあるような)、あれを竹炭に焼いても面白いなとか、オーナーを辞めてひらめくものもいろいろ。山の辺の道の景観なんかも考えるグループに参加していて、最近感じたことの一つも竹の活用。山の辺の道沿いの畑の猪避けのトタンの囲い、いささか無粋なあれに伐採した竹を提供したら小粋な猪避けの垣にならへんやろか…
ワラや竹のことも考えてるおっちゃんの名刺かあ。でもやっぱり環境系というよりこれから食べていく商いもあるしで、田舎の保存食系、実用雑貨系の人に渡すことが多い名刺になるやろねえ。次回はコピーライター定年後の名刺の肩書きに一応の結論を出す予定です。(陽)





