ずいぶんお世話になった商店街です。朝は、商店街のすぐそばの駐車場に車を置きアーケードを通って事務所に向かいました。徹夜明けや二日酔いでバテバテな時は、くろねこ薬局に寄り道して栄養ドリンクを買うのです。店の前に、エスエス製薬の赤いうさぎのピョンちゃんの乗り物を置いている古い薬局でした。「栄養ドリンクくださ~い」と言うと、パリッと糊のきいた白衣を着た白髪のおっちゃんが、「いくらのにしますか?」とまじめ口調で訊いてくれます。「今日は、ナンボぐらいのしんどさやろ」と、自分の疲労度合いを円単位に換算して、100円のにしたり300円のにしたりするわけです。残念ながらくろねこ薬局のシャッターは閉まったままになっていましたが、代わりに二軒隣の化粧品店の店先ではクロシロ模様の看板猫が店番中。まるで白衣を着たくろねこ薬局のおっちゃんみたいでした。
駐車場から商店街に曲がる角っこには、信用金庫の古い建物がありました、ここには、前は東側の商店街で営業していた「こんぶの土居」が移転していました。古めかしい洋風の建物を改装して、以前にもまして老舗感が漂っています。化学調味料を一切使わないこだわりの昆布屋さんの濃縮十倍出しは、マンガの美味しんぼでも出てくるほど人気商品。我が家も息子の彼女のご両親に挨拶に行く時に、土居さんで昆布を買って手土産にしたのを懐かしく思い出しました。
お昼になれば、時には肉屋さんのコロッケと色御飯を求めに、時には旨くて安い定食屋さんをめざして、夕方には自宅の夕食の食材を探しに、夜には、ちょっと一杯ひっかけにと、商店街と事務所を行ったりきたりの日々でした。実を言うと今だって、スパンはとっても長くなったけれど、商店街と仕事場を行ったり来たりの気分は、ずっと続いているのです。(ひろ)





