植村牧場は奈良でいちばん古い牧場で、牛舎の建物も明治時代からのものだそうです。明治の木造建築ってすごいなあと思いました。鉄筋コンクリートだったら、こんなにひなびた味わいのある状態で残っていたかどうかですね。入場料もとらず明治17年(1884年)以来120年以上にわたって牧場が続いてきたということは、お客様に支持されてきたということ。どこがお客様に支持されてきたかは訪れてみると、知的障がい者もごく当たり前に働いていたり百年輝きを失わない懐の深さが納得できるはずです。休日ともなれば併設のレストラン「いちづ」は予約で一杯。われわれもそうでしたが、次こそ予約を取ってから来たいと、やむなくソフトクリームや牛乳だけで我慢して帰るお客様で一杯です。
コスモス寺として知られる般若寺は植村牧場の真向かいにあります。植村牧場も明治の初め頃からと歴史は古いのですが、般若寺は聖武天皇の頃に、都の鬼門封じに寺名が般若寺となってからでも1300年近くになります。そんな両者もお客様・拝観者集めでは相乗効果があるように見えました。ただ、植村牧場は入場無料のおおらかな雰囲気に比べ、般若寺の拝観料500円と駐車場料金が別にかかるのは、折角大衆的なコスモスが愛でられるのに単独では観光客を集めにくいかもしれません。あくまで、ボクたちの経済観念と境内を拝観した魅力を天秤にかければの話ですが。
正直白状すると、正倉院を見たのはこれが初めてです。陽はかなり方向音痴のところがあり、木立に囲まれたあたりに迷い込んでしまって、これまで行き着けたことがなかったんです。東大寺界隈は足の向くままに歩いても、天平時代につながる甍やひなびた漆喰の壁がある道など、それはそれで趣のある景観が随所で楽しめてしまうものですから。正倉院はウイークデーは無料で構内までは入れるそうなので、あらためてじっくり湿気をうまくコントロールできる校倉造の細部を観せてもらうことにして、今回は文字通り垣根の隙間から垣間見た天平建築の粋をパチリ。(陽)



