今回歩いたのは、山の辺の道「北道」と呼ばれている奈良側玄関の部分です。陽はこれまで北道を歩いたことはなく、最近東大寺大仏殿より大きい金堂跡が出土して大きな話題になっている新薬師寺界隈など興味津々です。前回の奈良北辺、今回の奈良北東部を歩いて実感したのは、奈良って何度も飽きずに歩きにくるのがよく似合うところだなあってこと。一回こっきりな観光客にリピーターになってもらえる仕掛けがもっと必要かも、などと考えながら北道を初めて歩いた眼で感じたままを2回に分けてレポートしてみましょう。
奈良って鹿と大仏くらいしかないじゃない、と思っている人が少なからずあるらしいのがちょっと悔しいのです。確かに団体さんで来て、奈良公園をあわただしく移動するだけじゃそれくらいしか観ることができないのかも知れませんけどね。陽も奈良公園は何度も訪れていますが、広すぎていつもも道に迷ってしまい、前回やっと正倉院の場所を知ったくらいです。奈良公園一つ、鹿のいる風景だけをとっても、例えばスケッチや写真を趣味にする人にとっては何十回来ても飽きることはないでしょう。
奈良公園の中には、写真のような外国人が喜びそうなお抹茶をいただける茶店をはじめ、若草山の山すそには修学旅行生が限られた自由行動で訪れる奈良の土産物屋さんがひしめいています。何かの縁日で人出が多いときに売り上げがあればええねん。普段は外人さんや修学旅行生相手にのんびり行こか…みたいなことで、成り立っていればそれはそれでいいのですが。
最近の修学旅行では雅楽や和服の着付けなどの体験学習が組み込まれています。外人さんはもともと日本情緒のいいとこ取りをするのがとても上手です。それらの店でも「お点前」であるとか「昔遊び」であるとかの体験企画なんかも面白いのにななんて思いました。ネットで調べても何か体験できるところは少ないのです。
大仏殿から東の若草山の麓にお水取りで有名な二月堂の大きな建物があります。山の辺の道はこの辺りから山すそを南下して、桜井に至るので、文字通り山の辺の道というわけです。東大寺や春日大社をはじめ、今話題の新薬師寺もその昔は東大寺と並ぶ威容を誇っていた奈良の都の一角と考えれば、その南の高円山の中腹にある白毫寺が、奈良市街や奈良盆地を見晴らすビューポイント的立地からも、山の辺の道奈良側玄関口と考えられます。
山の辺の道は、北道でも道は狭く、やっぱりリュックを背負って歩くのが似合う道だと実感します。車や観光バスの団体さんで訪れるタイプの観光を仮に旧タイプと呼ぶとすれば、奈良の田舎の魅力にふれて今度歩きに来たいなと思うきっかけになるならそれも別に悪くはありません。
写真は高円山登山口の標識、その対面にある「高円山大文字火床」などの案内板は個人の方の労作と思われます。創意と地元の風物への愛情が感じられて好感を持ちました。樹木や池の名前などにフリガナがついているのも親切です。「櫟・椚」を「くぬぎ」と読める人、それがどんな樹か思い浮かぶ人は少ないと思います。実際の樹を見て覚えた方が忘れないし、樹や自然への愛情も芽生えるでしょう。個人の方が親心のようなものでこんな標識を作ったとすると、伝わる人には伝わるいい例だなあと思いました。
天理側から白毫寺への道中にあった道標は草に埋もれていました。団体さんに目に留まることはまずないでしょう。?奈良市街を見晴らせる白毫寺そのものは現在でも閻魔大王を祭る珍しい寺として有名です。とくに1月16日と7月16日の「閻魔もうで」で知られ、ツバキ、萩の名所としても季節の賑わいもあります。白毫寺町はその門前町ですが、道標を辿って着いても門前の賑わいらしいものは民間の駐車場兼荷物預かりが幅をきかせているだけでした。白毫寺町も縁日だけ賑わうところなの?いえいえ、意外なところがリピーター客で賑わったいたというお話は次回に。(陽)



