飛鳥京・藤原京~平安京踏破てくてくレポート

明日香夢販売所2 地産地消の本当の値打ちとは…

地産地消の本当の値打ちは戦争になってみないと分からない、と村の長老から聞いたことがある。戦争になって外国から食べ物が入らなくなったら、たちまち戦争のときみたいに農家様さまになる…という意識がずっとあるというのである。戦後も農家は専業で跡を継ぐのが当たり前、農業こそが国の根本という意識だった。今の跡継ぎの代になって働き手は昼間勤めに出なければ農業だけでは立ち行かなくなったけど、いつまでもこんな時代は続かない、続くはずがない。生きていく食べ物を担う農業を軽んじているといつかはしっぺ返しがくる。そういう意識があるからこそ、棚田オーナー制度も必要とと決断したとその長老は語ってくれた。

棚田オーナーたちの田植え風景高齢者や女性には大変しんどい耕作地も、都会からやってきたオーナーたちの概して若い世代には新鮮な新天地である。われわれ一家も始めて棚田に通い始めた最初の一年の鮮烈さは今も思い出すことができる。田んぼや畑の土に初めて触れる感激。わくわくしながら田植えから収穫まであっという間に過ぎた11年前の一年を今体験中のことのように思い起こすことができる。最近オーナーになった方々もおそらくワクワクどきどきで農作業に従事しておられることだろう。おかげで、昔からの棚田の景観が、田毎の月映すを美しい景観としてよみがえり10年以上を経過している。

その美しい風景の中に、休日になると棚田オーナや畑オーナーを入れると百世帯以上もが奥明日香にやってくる。本職の農家にはインストラクターとしてオーナーたちを世話する手間が加わったが、先行きの見えない農業をしているよりましという。勤めに行っている農家の若い人も、自分の家の農作業に加えその世話役もあって休みもめったにない。それでもオーナー制度を始めた親世代が10年以上頑張ってきたのをみているので、そろそろオーナー制度のほうも跡継ぎさんたちへのバトンタッチの機が熟しつつあるといえるだろう。

最近のオーナー公募は明日香村ホームページを通じて行われているが、かなり狭き門だそうである。食の安全への意識も高いインターネット世代が、自分で食べるお米や野菜を自分で作ることに関心を持つ自然な流れの結果、人気が高いのではないのではないだろいか。こういうオーナーの自産自消も含めて、地産地消を広く解釈すると、都会の人が明日香へ農業を楽しみにきて、夢販売所で買ったものを含めてそこで取れたもの持ち帰り、安心な旬の食べるライフスタイルを持つのはとてもいいことだと思う。そしてそういう都市部のファン層にはネットでちぃ注文した米や野菜を供給できるシステムができれば、農業が企業として成り立つ時代もまたやってくるのではないか。そんなことを考えた夢販売所訪問だった。

収穫の日、続々と集まるオーナたち。明日香の長老方と話をしていると、遺跡が田畑という布団を被って眠っている明日香村で、耕しながら遺跡のお守りをしている誇り、そして村民の日常的な意識の底にそんな誇りも併せもっておられるのを感じることが多い。
オーナー制度参加を通じてYHO&HIROの明日香とのふれあいも11年に及び、多くのことを学ばせていただいた。先述のようにオーナー制度参加も村のホームページを通じて非常に狭き門になっている。我々の最初の年も落選だったのを思い出す。桜井でのやりたいことも増えたので来年はぼちぼちオーナーの椅子を全面的に明け渡そうと考えている。

-2008・9・23-

前へ てくてくレポートのトップページへ 「あきない毎日」のホームへ 次へ