奈良市南部の円照寺辺りの山の辺の道は、竹林を通り抜けることも多く、落葉を踏みしめて歩くと、ちびたスニーカーならではともいえる古道の感触が足裏に伝わってくるのいいですね。1000年といわず100年くらい前までの旅人は、わらじを履きつぶしながら同じ感触を味わっていたことでしょう。わらじは足裏のつぼ刺激にもよいといわれ、昔の旅人の健脚のもとだったのかも知れません。
そういえば、テレビの番組で千日回峰行のお坊さんがはきつぶしたおびただしいわらじが映し出されていた場面を思い出しました。南無阿弥陀仏を唱え、無念無想で各所のお堂や祠を礼拝すること延べ1000日。7年に及ぶ行になるとか。われわれ俗人はたまに円照寺のような美しい尼寺の佇まいに触れると、心洗われる思いはしますが、その道中といえば有念夢想。歩くことで色々思うのもまたよしなのかなと思ったりもします。
今回は道端で竹炭などとともにわらじまで売っている、けったいな無人販売のお店があって、足が止まりました。こんなものまで無人で売るか!と、わかる人には値打ちのわかるものが並んでいます。わらじも値打ちのわかる人にわわかる一つ。竹炭や竹酢液がメインの店であることは、見栄えはともかく親切な掲示物でよくわかります。竹酢液を使って無農薬で育てたにんにくなどの作物まで、、。ごちゃごちゃとしてるけど、筋は通ってる。なんでもうちょっとコギレイにできへんのやろ?
よく見るとお店はおんぼろになったトランクルームを廃物利用しているようです。ま、炭を扱ってキレイにするのは並大抵のことではないのはわかる気もするので、掲示物に注目することにしました。大量生産ではない竹炭は温度管理が難しいこと。歩留まりが3割くらいしかないけど脱臭や水の浄化能力は普通の木炭の10倍くらいのパワーがある!などとていねいに説明してあります。竹炭にこだわりをもっておられるのは好感が持てました。
冷蔵庫の野菜室に入れれば野菜のみずみずしい鮮度が保てる。温かいお風呂は温泉気分。無人販売でここまで説明しているのを見たことがありません。竹炭や竹酢液の他、干し柿や、干し芋、無農薬栽培の小豆、黒豆ボクが売りたいような商品ばかりなのです。すべてが竹酢液がらみというのがボクにはないポイント。それにしても200円~300円のお豆さんはいいとして、1000円~3000円する商品まで無人販売とは度胸のあるお方ですな。
竹林を通っているとき、もう一つ「オッ」と思ったことがあります。竹の猪避けの柵です。これだ!猪避けには竹の柵がいいと心の中で手を打ったほどです。最近山の辺の道などを歩いていて、やけに目に付くのが猪避けの囲いの柵です。トタンの波板のものが多いですが、廃物をすき放題にはめ込んだりしていたり景観的には統一感がなく、見苦しい場合が多いですね。竹林伐採のボランティア活動の産物としては竹炭が脚光を浴びていますが、伐採したすべての竹が竹炭になるわけではありません。
その竹の利用法として、猪避けの柵になる規格を作って自治体などが配布してはどうだろうかと思うわけです。竹ですからある程度の年数が経てば朽ちてきます。でも、やっぱり竹ですからまた生えてきます。増えすぎた竹の悩みも解消できるほどの循環は難しいけれど、土に帰らないトタンの囲いよりよろしいのでは。そんなことを思いながら山の辺の道北道の竹林を歩いたのでした。(陽)



